全国で100以上あると言われているデータ復旧業者。検索してみると、数々のホームページがヒットし、「高いデータ復旧率」や「格安データ復旧」など、様々なサービスの情報や特徴を見ることができる一方、実際にどのようにしてデータ復旧作業が行われているのかを、公開している業者はほとんどありません。
そこで、このページでは、データ復旧におけるパイオニア的存在「アドバンスデザイン」の現場を紹介。さらに、信頼できる業者選びのポイントについても伺いました。
1995年に、日本で初めてデータ復旧専門企業として創業したパイオニア的企業。データ復旧業界の健全化を目指す「日本データ復旧協会(DRAJ)」の常任理事であり、マーケットに向けた正しい情報と、技術レベルの向上に取り組んでいる。
2017年より、バッファロー社を中核事業とするメルコグループの一員となり、現在バッファロー社に対しても重度障害における技術支援を提供。情報セキュリティマネジメントシステム国際規格ISO 27001、品質マネジメントシステムに関する国際規格ISO 9001取得。
アドバンスデザインは、千代田区の都心であり、オフィスビルやビジネスホテルが立ち並ぶ神田須田町にあります。JR神田駅、JR秋葉原駅、都営地下鉄岩本町駅が最寄りとなり、日本橋、丸の内からアクセスしやすいこともあり、店舗持ち込みをする方も多いようです。
情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格であるISO 27001を取得している同社では、診断申し込みを受けた時点から、顧客番号が割り振られ、徹底的な情報管理体制・仕組みのもと、データ復旧が行われることになります。
実際の作業現場は、自社内のフロアに設置。入室にはカードキーが必要で、「いつ・誰が入室したか」がすべて記録されるなど、厳重なセキュリティ管理下にあります。
持ち込みや郵送で運び込まれたHDD、PCなどの機器は、すべていったん物流エリアに集められます。集められた機器は、まず専門のエンジニアによって初期診断が行われ、キズや欠損がないかどうかをチェックされた後、物理障害/倫理障害に分類。機器を損なうことがないように、いったんデータは専用の機器にクローン(コピー)され、分析・復旧が行われます。物理障害が発生し、預かった機器が動かないためにクローンをとれない場合は、物理復旧エリアでドナー部品を使って動くようにした後、復旧作業が行われることになります。
アドバンスデザインでは、顧客から預かった機器を含めて「情報資産」と見なし、専門のエンジニアによって丁重に扱われる点が、大きな特徴のひとつ。つまり、預かった状態から情報資産を損なうことのないよう、繊細な取扱いと管理の実行が徹底されているのです。これがアドバンスデザインならではのサービス品質に繋がっていると言えるでしょう。
物理障害の場合は、クリーンルームで復旧作業が行われることになります。例えばHDDは、毎分数千~1万程度で高速回転する円盤(プラッタ)に、磁気で記録された情報を、磁気ヘッドがデータを読みとる仕組みになっています。この磁気ヘッドとプラッタの間は、わずか10ナノメートル。1メートルの10億分の1であり、髪の毛の太さが0.1mmとすれば、その10万分の1という世界。まさに、ナノメートル単位で設計されている精密機械に対する、繊細な作業が必要とされるのです。
これを分解修理する場合には、空気中の目に見えないチリさえも、デリケートな装置を破壊する原因になりかねないため、クリーンな設備および環境が必須となります。もちろん、エンジニアも静電気防止スーツ、帯電防止クリーンシューズほか、キャップ、マスク、手袋といった完全防備を装着。
HDDのデータ復旧においては、このように浮遊粒子の混入を防ぎ、預かった機器を傷つけることなく、データを読み出す繊細かつ高度な技術が求められます。アドバンスデザインでは、クリーンルームを備え、物理障害に対応。エンジニアは、元ハードウェアメーカー出身者をはじめ、機器の仕組みや取り扱いに精通したプロフェッショナルを揃えています。
アドバンスデザインでは、出張型(オンサイト)のデータ復旧サービスにも対応しています。依然として法人ニーズは高い傾向にありますが、会社の機密情報が詰まったデータが壊れた場合や、ネットワークサーバーやクラウドのデータトラブルがあった場合に問題となるのが「情報漏えいリスク」です。データを復旧したいが、サーバーやパソコンを外に持ち出せない、絶対に情報を流出できないと言う場合に、提供するのがオンサイトサービスなのです。
実際には、顧客企業の要望や予算に合わせて、オンサイトでクローン作製のみを行って持ち帰るケース、現場にクリーンルームを再現できる設備ごと持ち込んで、物理処置を行うようなケースがあります。設備を持ち込む場合は、ビニールを区切り、陽圧環境になった空間で疑似的にクリーンルームをつくって、外部のちりやほこりを入らないようにして復旧作業を行います。アドバンスデザインはISO 27001を取得しており、オンサイトサービスにおいても、あらゆる情報・データが厳格なセキュリティポリシーに従い取り扱われますので、その信頼度は高いと言えます。
データ復旧における大きな傾向としては、オンプレミスからクラウド化への移行があげられます。企業としては、機密情報を含む重要なデータをクラウドに格納するケースが増え、さらに大容量化しているのです。実際、アドバンスデザインにも、クラウドサービス提供会社からの依頼も増えています。
クラウド型データ復元の場合、一般的なHDDなどの復旧とは異なります。特にクラウドストレージのような大規模に構築された環境においては、復旧実績を持つプロフェッショナルに相談することが必要です。
実は復旧率の算定方法は、業界で統一されたものではありません。例えば診断して「復旧できそう」と分かって正式に依頼を受けたものだけを分母にすれば、100%に近くなってしまいます。一方で、復旧したデータに、お客様の望むものが含まれていないとしたら、それはほとんど意味がないわけです。
実際には、物理損傷が重度なものなど、どうしても復旧できないものは一定の割合で存在しており、実際の成功率は高くて70~80%程度とみています。データ復旧率90%を超えるような過大な表記には、注意が必要です。
データ復旧の価格設定については、一律で決めることが難しい部分もあります。障害の大きさ、復旧の難易度をはじめ、各社が保有している設備・技術や構築している体制によっても、費用は異なってくるでしょう。一方で、データ復旧にかかる高額請求に関する苦情や相談が、依然としてあるのは事実です。例えば調査料20万円と、成功報酬10万円という料金設定で、データが復元されなかったにも関わらず、20万円という高額請求をされたケースなど。
データ復旧においては、企業の機密情報から、結婚式やお子様誕生の瞬間まで、ひとつひとつに、依頼にかける顧客の想いやエピソードが背景にあるものです。症状によって復元に限界はあるかもしれませんが、その気持ちを踏みにじるような、こういった法外な金額見積りや請求に関する被害は、今後業界としてゼロにしていかなければなりません。
これまでお話ししてきたような、データ復旧成功率に関する誇大広告や、高額請求の問題などを背景に、業界の健全化を目指し2009年に発足したのが「日本データ復旧協会(DRAJ)」です。設立メンバーは、弊社アドバンスデザインなど5社。2017年に一般社団法人化した後、さらに新規参加も増えています。
DRAJに参画しているデータ復旧業者は、「データ復旧成功率に関する誇大広告の規制」「児童ポルノ所有者のデータ復旧拒否」「復元に失敗した場合に最低限度をこえる費用を受け取らない」という行動目標に準じてサービスを提供しています。技術レベルも高く、対応品質も期待できるので、信頼性が高いデータ復旧業者を探す場合に、ひとつの目安となるでしょう。
データを復旧する過程での悪質業者は、数こそ随分減りましたが、1件でも被害があった場合のインパクトは大きいと言えます。これをゼロにするために、データ復旧業者としての規範を示し続けて、業界全体に対してユーザーに寄り添った改善を促すことが最も重要です。
故障やヒューマンエラーがなくならない限り、今後もデータ復旧は必要とされるでしょう。その時に求められるのは、常に最新の技術を勉強し、未来のストレージ技術にも対応できる優秀なデータ復旧業者。様々なデータ障害に対して、総合診療できる知見をもって、顧客がより良い選択を得られるように対応できることだと考えています。
運営会社 | アドバンスデザイン株式会社 |
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創業 | 1995年 |
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス丸の内15F |
電話番号 | 0120-290-189 |
品質規格 | ISO9001、ISO27001 |